おかしい気がする。
毎晩同じ卓を囲むのは良い、
酒を呑み交わしへべれけになるのもあることだろう。
だがこうも毎日、結果的に同衾しているのは、流石に「よくあること」とは言えまい。
寝台から他人の匂いがするし、勝手に物が増えている。朝同じ扉を潜り、晩に同じ屋に帰る。
これは他人、なのだろうか。
貴方は沖波のイスで『普通の尺度』をお題にして140文字SSを書いてください。
結局、おれはこの男についてほとんど無知である。
過去を知らされないことが不幸か、と問われれば確かに幸福ではない。
だけれど「ギーヴ卿」そう呼べば振り返り、楽士と呼べば不敵な笑みを見せる。時々おれの弓の腕をせせら笑う。 仇敵としてではない関係を築くと決めた判断は間違いではないと思う。
貴方は雪豹狼で『幸せかどうかはともかくも、』をお題にして140文字SSを書いてください。
呆然と戸口に佇む男。月を背に、きっと泣きそうな顔をしてるんだろう。でも決して涙は零れない。零さないくせしてここにやってくるのだ。
ずるい男だな、と思うが口は別の音を紡ぐ。 「また迷子かい?」 ほんとうに稚い子供のように、 こくんと頷いて傍にやってくる男の、硬い手を握ってやる。ただそれだけ。
貴方は沖波のギーヴで『手だけつないで』をお題にして140文字SSを書いてください。
目覚めたそこは自室ではなかった。けれど見知らぬとも言えない。壁に凭れて眠る男と一晩中繋いでいたのだろう左手は、じっとりと汗ばんで、少しふやけている。 普段は人を食ったようなのに、 こんな時だけ甘やかす。無関心で心地好いぬるま湯を、黙って用意するこの男こそが、なにより厄介な人物なのだ。
貴方は沖波のイスファーンで『一番厄介な存在』をお題にして140文字SSを書いてください。
楽しそうですね、と声をかけられて初めて 自身が口遊んでいたことを知った。
「なんという歌ですか」
季節は春、晴天。
なんだったかな、
と空惚けた。答えられないのは楽士がいつかの夜に歌っていた歌だからだ。 存外心地良いそれを何度もせがんだせいで、歌えるようになってしまったなどと知られたら。
貴方は沖で『長く一緒にいた影響』をお題にして140文字SSを書いてください。
沖じゃなくて本当はギヴイスと入れるはずだったんや 許してたもれ
おれにとって夜とは
朝が来るまでの
長く恐ろしい時間でしかなく、
だからこうして夜毎人のもとへ
忍んでいくのだ。
体温は鋭い夜気を和らげる。
そこでなら、いやそこでしか眠れないのだ。
「まあこれも全部嘘なのだが」
「悪夢に魘されろ」
貴方はギヴイスで『ぐっない、良い夢を』をお題にして140文字SSを書いてください。
「特別」をお互いに認めて 他人なら入れない距離を相手に許して
それでもできないことなんてのはたくさんある。
目の前で兄を思い出して肩を落とす彼を慰めてやることは、その最たるもの。
こういう時、おれは彼の眼前に立つことはない。
特別だからといってそれ以前の関係がなくなったわけではないのだから。
貴方はギヴイスで『10センチが憎い』をお題にして140文字SSを書いてください。
夕飯を、と声をかけようとして私は気付く。
邸の主人の寝室扉の前には二足の靴があった。
どちらも見覚えがある。
念のため二回……間を置いてもう一回、
戸を敲くが応えはない。
物音は一切しないがそれがよりいっそう私に
ある確信をさせる。
あしたの挨拶は決まった。
ゆうべはお楽しみだったようで、だ。
貴方はギヴイスで『その靴を脱ぎ捨てて』をお題にして140字SSを書いてください。
ここまで【140文字SSのお題】(診断メーカー)からいただいたお題。次のは別の診断メーカーさんのものなのでいったん区切り
もしかして、さっきまであいついた?
そう言うかれの顔はまったく普通でいつも通りで、どこにも気負った様子は見つけられない。
なんでわかる、と訊かれても困る。
ただなんか、匂い、というか温度がする気がする、あいつの。
体温を知っている、そんなのはもう惚気じゃないのか、と指摘してやりたい。
あなたがギヴイスで書く本日の140字SSのお題は『すれ違い』です
【 #お題使ってみたー】
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